1月 17, 2014

芥川賞 直木賞

たまたま、あまり読まない直木賞受賞作ですが、2013年上半期直木賞を受賞した「ホテルローヤル」を読んでいました。まあ、それなりに面白いかなと思っていた矢先、今日2013年下半期の芥川賞と直木賞が発表されましたね。まあこれらは「文藝春秋」賞とも言うべき広告色の強い賞だったのですが、いつの間にかそうではなくなってきています。ならば、純文学としての「群像新人賞」のほうがワシは好きだが。。

純文学が好きなワシが高校時代初めて読んだ芥川賞は安部公房の「壁」。当時の現国の先生が読んでみてはと勧めてくれたのがきっかけ。理数科だったワシは何か畑違いの純粋な文学に変に憧れていたというか何と言うか(笑)。宇野浩二にして、「こんな退屈な作品」と酷評されるも、ワシにとってはこのシュールさが忘れられない。

大江健三郎の「死者の奢り・飼育」は独自の非常に狭い世界観に辟易して、なんでこんなモノが選ばれたのだろうと偉そうに思ったら、案の定晩年の彼の「沖縄」論争で左翼っぷりが見事に花開き、読むに堪えない個人主義と思想のための捏造のオンパレードは、ワシの先賢の目があったということか(笑)。選にもれた開高健のがよっぽど素晴らしい。

時代はずっと過ぎ、「赤頭巾ちゃん気をつけて」とか「限りなく透明に近いブルー」とか最近では「蹴りたい背中」とか、選考委員のけちを付ける訳じゃ無いけれど、これだけ世の中で売れるって事は、芸術性よりも大衆じゃ無いかと、芥川賞じゃ無く直木賞じゃ無いのかと、何となく不愉快になったりして(笑)。

しかし、第一回芥川賞で太宰治が川端康成の激しい反対で受賞を逃したのは、返す返すも残念で仕方ない。作品自体より太宰の生活環境を酷評した川端康成に太宰は憤怒したと言われているが、薬物中毒では仕方ないのか。いや、純文学とはそんな事はどうでも良いはずなのではないかな。そんな太宰を酷評した川端の後の自殺を考えるに、風景を愛で生き物を愛できらびやかな世界を愛で、そんな自分の中から怒髪天を抜く様な純文学を目指してもそりゃ無理無理。

なんて、偉そうに、ワシこそ何者よ(笑)。
ワシの純粋な思いは、何とかカフカ的K氏の芸術的純文学への挑戦に大いに期待するところなのだが。そして彼もまたその高みを思って欲しいのだが。今回の「穴」、、、どうなんだろ。最近は女性作家ばかりが目立つけれど、男の性に、もはや純文学は無用だというのだろうか?今までの最高齢は黒田夏子氏の75歳受賞。大丈夫、まだまだ時間はあるはず。


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