木曜日, 2月 08, 2018

歯科治療に対する医科の無理解が悲しい

ある患者さんが歯周病の急性発作で酷い疼痛を訴えて来院しました。骨縁下ポケットと外傷性咬合を伴っていましたので歯周病の急性発作と診断しました。私が担当したわけではないのですが、担当医はその急性症状の増悪を懸念するケースと判断し、早急な回復を期待して、圧倒的に抗菌スペクトルの広いニューキノロンである所のシタフロキサシンのグレースビットを処方しました。

感染症ガイドラインでは、ファーストチョイスはペニシリン系を使うことが推奨されますが、歯科臨床の現場では、全く効果が無い場合をかなり多く経験していることや、歯科的感染症に対してそんな悠長なことを言っていられない場合などが多々有り、状況に応じて薬剤を替えて行くくらいなら、はじめから広いスペクトルの抗菌薬を使うことは臨床症状から鑑みてたまににある訳です。もちろん歯科の適応もある薬剤なのですから。当然ガイドラインでも「主治医の判断」と言うことになっています。

ちなみに医科では、歯科のそういう薬剤の使用法が耐性菌を多く作ってしまいいざというときに効かなくなってしまうと言うことを言います。果たしてそうなのでしょうか。かつて東海大学のSJ教授は歯科の短期の細切れの薬剤使用こそが問題で有り、種類ではなく使用期間の短さが耐性菌を作りやすい環境を作るのだと説明していたこともあり、歯科におけるニューキノロンの使用はそういう問題を解決するだろう、、とまで言っていたのです。意見の分かれるところではあります。まあ、この話は置いておいて。。。。。

この患者さんは、内服してから体のかゆみや体調不良を訴えました。我々が一番この場合考えなければならないことは、I型アレルギーとそのグレードです。すぐに来院してもらいバイタル測定したところ全て問題が無かったのですけれど、念のために(この時点ではそれぐらいだった)2次医療機関のERにDHがタクシーで連れて行きました。途中急激に様態が悪化し明らかにグレード2以降の症状になり、ERで適切な処置を施していただき症状は安定し翌日退院しました。まあ、ER看護師の「エピも持ってないの?」という捨て台詞はおいておきましょう。もちろんありますが使用タイミングではなかったと判断しただけだったので。

問題はここからです。翌日患者さんが来院なさった時、我々に謝罪その他を要求してきました。その理由は、、、、

1,ERドクターが「この薬は歯科では使わない」とういう発言を聞いた。

2,そこの薬剤師が「この薬はすごく強い薬で歯科で使うなんてありえない」という発言を聞いた

3,これらのことから、自分の受けたこの状況は、歯科では使ってはいけない薬剤を私に使用したために起きた医療事故ではないのか?アレルギーではないのではないか?


と言うことでした。そこで、ERのドクターに電話をして本当にそんな馬鹿なことを言ったのかを確認をしたところ「そんなことはいっていないが、先にペニシリン系を使うべき(意味不明?なぜ?)」「しかし、このアレルギーの問題とは別の問題」という返答をもらいましたが(そりゃそうです、アレルギーが出やすい出ないは有意差がありません)、そのことを患者さんに話すと「ドクターが言った」と言い、ドクターは「薬剤師が勝手に言った」と言っていますから、埒があきません。正式にこのことに対して、ERに抗議をしようにも患者さんは詳細の確認に関して「もう思い出したくもないのでもう良いです」と宙ぶらりんになってしまいました。
これは選択の問題ではなく、薬剤に対するアレルギー反応以外の何物でも無いはずじゃないですか。

要は、偉い医科の先生方は是非、歯科の臨床現場で何が起こっているのか、もう少し関心を持って頂ければうれしいわけで、「医科歯科連携」と言う割にはの無理解こそが、こういう余計なトラブルを生むのでは無いかと思いますが、違いますか?
それからもう一つ。歯科でどんな薬を使おうが、使えないモノは使わないわけですなわち合法です。そのことを疑問に思うのならきちんと患者の前で医科歯科でディスカッションしましょう。特にこのような無知な薬剤師は出席してほしいですね。

歯科とは不思議な科目なんです。オペのためにプロポフォールやBZPミダゾラムでも買えますが、インフルエンザ検査キットは、保健所がこれは医療行為だからと言う理由で(笑)買えません。こういうとんでもない矛盾の中で私たちは日々仕事をしています。







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